General道場 「福井勝山総合病院 皮膚科研修」活動報告 2025.10.16
総合診療専攻医4年目 青木拓耶です。
皮膚科研修では、在宅医療や地域医療で頻繁に遭遇する褥瘡、スキンテア、低温熱傷などの皮膚疾患への対応を学ぶことを目標としました。
地域の中核病院で内科診療に携わる中で、皮膚科専門医が不在の状況において皮膚疾患の初期対応を求められることが多く、
皮膚科一般の知識や創傷管理の技術を身につけたいと考えました。
研修では、深い褥瘡に対する局所陰圧閉鎖療法(NPWT)の実際を学び、在宅でも使用可能なデバイスや適応について理解を深めることができました。
一方で、コストや管理の面から在宅での実施が難しい場合もあるため、古くから行われてきたwet to dry dressing(生理食塩水で湿らせたガーゼを用いた被覆法)など、低コストで実践可能な方法も学びました。
不良肉芽を安全に除去するデブリードマンの方法や、創の治癒過程に応じた外用薬の使い分けなども非常に勉強になりました。
外来では、静脈性・リンパ管性のうっ滞性皮膚炎や、そこから蜂窩織炎などの感染症に進展する患者さんが多く受診されており、その多さに驚きました。
四肢の浮腫は皮膚のバリア機能を損ない、創傷治癒を遅らせる要因となるため、日常的な浮腫へのアプローチが極めて重要であると実感しました。
私自身も過去に、蜂窩織炎を繰り返す患者さんに弾性ストッキングの使用を勧めた経験がありますが、履きにくさのため継続が難しいことが課題でした。
今回の研修では、より履きやすく続けやすいタイプのストッキングを教えていただき、実際にそれを用いることでうっ滞性皮膚炎や蜂窩織炎が著明に改善していく患者さんを目の当たりにしました。
再発予防の観点からも、浮腫の管理にしっかりと目を向けていく必要があると感じました。
また、フットケアの重要性についても学ぶことができました。外来では、鶏眼や胼胝、巻き爪などの足のトラブルで受診される方が多くみられました。
靴のサイズが合っていなかったり、靴紐をしっかり固定していなかったりすることが原因となる場合が多く、
足を靴の踵に合わせ、靴紐で足が靴の中で動かないよう固定することで予防できることを学びました。
特に福井では農業に従事する方が多く、長靴の使用による足トラブルも少なくありません。
そのような場合には、滑り止め付きの靴下を着用するなど、生活に即した工夫が有効であると教わりました。
私自身も日々の足元のケアの大切さを実感し、早速靴紐をしっかり結ぶように心がけています。
今回の研修を通じて、皮膚科疾患は単なる皮膚の問題ではなく、全身状態や生活背景と密接に関連していることを改めて認識しました。
今後は、学んだ知識と技術を活かし、在宅や地域の現場で患者さんが快適に生活を送れるよう支援していきたいと思います。