General道場 「福井厚生病院」での活動報告3 2025.07.29
精神科研修 3か月目 活動報告
総合診療部専攻医4年目の青木拓耶です。3か月間にわたる精神科研修が終了しました。
はじめに述べたように、今回の研修では
「在宅医療や地域医療といった精神科へのアクセスが限られる場面で、プライマリケア医として精神症状にどう対応するべきか」「どこまでを守備範囲とし、どこから専門科につなぐべきか」という問いへのヒントを得たいと考えていました。
この3か月間で、初診・再初診の外来患者の診療や入院患者の治療計画・面談への参加、多職種との連携を通じて、精神科医療における“診る力”と“支える力”の両方の重要性を学びました。
軽度から中等度のうつ、不安障害、統合失調症、認知症など、地域でも遭遇する可能性が高い精神疾患を幅広く経験し、診断と治療の実際、特に非薬物療法や環境調整の必要性についても深く学ぶことができました。
また、閉鎖病棟のない施設という特性から、重症患者よりも、地域や在宅の現場で出会うようなケースへの対応が多く、まさにプライマリケア医として向き合うべき層に対する診療経験を積むことができました。
こうした環境のなかで、初期対応や経過観察、他職種との情報共有の大切さを実感しました。
精神症状に対して「どこまで診るか」の見極めは、単に診断技術だけでなく、患者の生活背景や支援体制を踏まえた判断力が求められることも痛感しました。
精神保健福祉士、看護師、作業療法士、臨床心理士などとの連携を通して、医師一人ではカバーしきれない部分をどうチームで補完するか、その重要性も繰り返し学びました。
今回の研修を通して、プライマリケア医として精神科的な視点を持ち、早期対応や見極め、そして適切な専門科へのつなぎ方を実践的に学ぶことができました。
今後はこの経験を地域医療の現場で活かし、必要な人に必要な精神的ケアが届くよう努めていきたいと思います。
貴重な研修の機会をいただき、関係者の皆様に深く御礼申し上げます。